【数IIB】直線どうしの交点が描く軌跡を求める(千葉大2021第6問)
座標平面上に曲線 $C:y=\cfrac{1}{x}$ および 3 点 A$(-1,-1)$,B$(-1,0)$,D$(1,0)$ がある。曲線 $C$ 上の点 P$\Big(t,\cfrac{1}{t}\Big)$ に対して,直線 AP と直線 $y=-2$ の交点を Q とする。ただし,P が A と等しいとき,直線 AP とは A における $C$ の接線のこととする。また,直線 BQ に点 D から下ろした垂線と直線 BQ の交点を R とする。
(1) 点 P が曲線 $C$ 上を動くとき,点 R の軌跡を求めよ。
(2) 直線 PR が原点を通るような実数 $t$ の個数を求めよ。
軌跡を求める
(1) 点 P が曲線 $C$ 上を動くとき,点 R の軌跡を求めよ。
直線 AP の式を求めましょう。
直線の傾きは $\cfrac{y\textsf{の変化量}}{x\textsf{の変化量}}$ で求められます。A$(-1,-1)$ と P$\Big(t,\cfrac{1}{t}\Big)$ の場合,$x$ の変化量は $t-(-1)$ で $y$ の変化量は $\cfrac{1}{t}-(-1)$ です。そして,直線は $(-1,-1)$ を通るので
$y=\cfrac{\cfrac{1}{t}+1}{t+1}(x+1)-1$
$y=\cfrac{\Big(\cfrac{1}{t}+1\Big)\times t}{(t+1)\times t}(x+1)-1$
$=\cfrac{1+t}{t(1+t)}(x+1)-1$
$=\cfrac{1}{t}(x+1)-1$ ・・・①
次に $t=-1$ の場合を考えます。このとき,直線 AP は A における $y=\cfrac{1}{x}$ の接線です。
接線の傾きを求めると
$y=\cfrac{1}{x}=x^{-1}$
$y’=-x^{-2}=-\cfrac{1}{x^2}$
$x=-1$ とすると
$y’=-1$
これが $(-1,-1)$ を通るので,直線の式は
$y=-(x+1)-1$ ・・・②
ここで①と②を比べてみると,$t=-1$ のとき,①は
$y=\cfrac{1}{-1}(x+1)-1=-(x+1)-1$
となり②と同じになります。ということは $t$ の値に関係なく①の式で良いことになります。よって,直線 AP の式は
$y=\cfrac{1}{t}(x+1)-1$ ・・・③
次に,点 Q の座標を求めましょう。
$y=-2$ のとき,③は
$-2=\cfrac{1}{t}(x+1)-1$
$-2t=x+1-t$
$x=-t-1$
よって,Q$(-t-1,-2)$
これをもとに直線 BQ の式を求めます。
B$(-1,0)$ と Q$(-t-1,-2)$ を通る直線の式は
$y=\cfrac{-2}{-t-1+1}(x+1)$
$=\cfrac{2}{t}(x+1)$ ・・・④
さらに,直線 RD の式を求めましょう。
BQ と RD は垂直なので,RD の傾きを $m$ とすると
$\cfrac{2}{t}\times m=-1$
の関係が成り立ちます。よって
$m=-\cfrac{t}{2}$
直線 RD は D$(1,0)$ を通るので,直線の式は
$y=-\cfrac{t}{2}(x-1)$ ・・・⑤
④,⑤を連立して交点を求めます。
$\cfrac{2}{t}(x+1)=-\cfrac{t}{2}(x-1)$
両辺を $2t$ 倍して
$4(x+1)=-t^2(x-1)$
$4x+4=-t^2x+t^2$
$(4+t^2)x=t^2-4$
$x=\cfrac{t^2-4}{4+t^2}$
点 R は BQ の点なので,④に代入すると
$y=\cfrac{2}{t}\Big(\cfrac{t^2-4}{4+t^2}+1\Big)$
通分して
$=\cfrac{2}{t}\cdot\cfrac{t^2-4+4+t^2}{4+t^2}$
$=\cfrac{2}{t}\cdot\cfrac{2t^2}{4+t^2}$
$=\cfrac{4t}{4+t^2}$
ここで,$t\not=0$ より $y\not=0$ という条件が出てくることに注意しましょう。
ここから $t$ を消す方法が見つかるかどうかが勝負なのですが,軌跡はたいてい直線または円になるものです。
試行錯誤が必要ですが,直線はムリそうでも円の方程式に持ち込んだらうまくいきます。
$x^2=\cfrac{t^4-8t^2+16}{(4+t^2)^2}$
$y^2=\cfrac{16t^2}{(4+t^2)^2}$
$x^2+y^2=\cfrac{t^4-8t^2+16+16t^2}{(4+t^2)^2}$
$=\cfrac{t^4+8t^2+16}{(4+t^2)^2}$
$=\cfrac{(t^2+4)^2}{(4+t^2)^2}$
$=1$
したがって,求める軌跡は
$x^2+y^2=1$ ($y=0$ を除く) (答え)
解の数を求める
(2) 直線 PR が原点を通るような実数 $t$ の個数を求めよ。
P$\Big(t,\cfrac{1}{t}\Big)$
R$\Big(\cfrac{t^2-4}{4+t^2},\cfrac{4t}{4+t^2}\Big)$
をもとに,直線 PR の式を求めましょう。まず,傾きを求めていきます。
$x$ の変位量は
$\cfrac{t^2-4}{4+t^2}-t$
$=\cfrac{t^2-4-t(4+t^2)}{4+t^2}$
$=\cfrac{t^2-4-4t-t^3}{4+t^2}$
$=\cfrac{-t^3+t^2-4t-4}{4+t^2}$
$y$ の変位量は
$\cfrac{4t}{4+t^2}-\cfrac{1}{t}$
$=\cfrac{4t^2-(4+t^2)}{t(4+t^2)}$
$=\cfrac{4t^2-4-t^2}{t(4+t^2)}$
$=\cfrac{3t^2-4}{t(4+t^2)}$
傾きは
$\cfrac{\cfrac{3t^2-4}{t(4+t^2)}}{\cfrac{-t^3+t^2-4t-4}{4+t^2}}$
$=\cfrac{\cfrac{3t^2-4}{t}}{-t^3+t^2-4t-4}$
$=\cfrac{4-3t^2}{t\{t^3-t^2+4t+4\}}$
直線 PR は $\Big(t,\cfrac{1}{t}\Big)$ を通るので,式は
$y=\cfrac{4-3t^2}{t\{t^3-t^2+4t+4\}}(x-t)+\cfrac{1}{t}$
これが,原点 $(x,y)=(0,0)$ を通るので
$\cfrac{4-3t^2}{t\{t^3-t^2+4t+4\}}(0-t)+\cfrac{1}{t}=0$
$\cfrac{3t^2-4}{t^3-t^2+4t+4}+\cfrac{1}{t}=0$
通分して
$\cfrac{t(3t^2-4)+t^3-t^2+4t+4}{t(t^3-t^2+4t+4)}=0$
$\cfrac{4t^3-t^2+4}{t(t^3-t^2+4t+4)}=0$
ここで分子が 0 になれば左辺=右辺が成り立つので
$4t^3-t^2+4=0$
ここでは,解そのものは分からなくても解の個数が分かればオッケーです。
こういうときは,式を微分してグラフの概形を求めましょう。
$f(t)=4t^3-t^2+4$ として
$f'(t)=12t^2-2t$
$12t^2-2t=0$ とすると
$t(6t-1)=0$
$t=0,\cfrac{1}{6}$
増減表は
$\def\arraystretch{1.5}\begin{array}{|c||c|c|c|c|c|}\hline t&\cdots&(0)&\cdots&\frac{1}{6}&\cdots\\\hline f'(t)&+&(0)&-&0&+\\\hline f(t)&\nearrow&(4)&\searrow&\frac{862}{6^3}&\nearrow\\\hline\end{array}$
$f\Big(\cfrac{1}{6}\Big)=\cfrac{4}{6^3}-\cfrac{1}{6^2}+4$
$=\cfrac{862}{6^3}$
$f(t)=0$ となるのは 1 点だけなので,解は 1 個です。
したがって,直線 PR が原点を通るような実数 $t$ の個数は 1 個。(答え)
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