【確率】2つのさいころの目と二次関数の解の関係(神戸大2018理系第3問)

さいころを 3 回ふって,1 回目に出た目の数を aa,2 回目と 3 回目に出た目の数の和を bb とし,2 次方程式

x2ax+b=0x^2-ax+b=0 ・・・(*)

を考える。以下の問に答えよ。

(1) (*)が x=1x=1 を解にもつ確率を求めよ。

(2) (*)が整数を解にもつとする。このとき(*)の解は共に正の整数であり,また少なくとも 1 つの解は 3 以下であることを示せ。

(3) (*)が整数を解にもつ確率を求めよ。

ある数を解にもつ方程式の係数

(1)から始めます。

x=1x=1 を代入すると

1a+b=01-a+b=0
ab=1a-b=1

問題文から 1 a61\leqq a\leqq62 b122\leqq b\leqq12 という条件が考えられます。ここから,上の関係が成り立つ a,ba,b は

(a,b)=(3,2),(4,3),(5,4),(6,5)(a,b)=(3,2),(4,3),(5,4),(6,5)

となります。

ただし,bb はさいころを 2 回ふったときの合計なので注意が必要です。たとえば,b=4b=4 となるとき,(1,3),(2,2),(3,1)(1,3),(2,2),(3,1) と 3 通りあるので,(a,b)=(5,4)(a,b)=(5,4) となるのは,実際には 3 通り存在することになります。

b=2b=2 のとき,(1,1)(1,1) の 1 通り。
b=3b=3 のとき,(1,2),(2,1)(1,2),(2,1) の 2 通り。
b=4b=4 のとき,(1,3),(2,2),(3,1)(1,3),(2,2),(3,1) の 3 通り。
b=5b=5 のとき,(1,4),(2,3),(3,2),(4,1)(1,4),(2,3),(3,2),(4,1) の 4 通り。

したがって,求める確率は

16162+16262+16362+16462\cfrac{1}{6}\cdot\cfrac{1}{6^2}+\cfrac{1}{6}\cdot\cfrac{2}{6^2}+\cfrac{1}{6}\cdot\cfrac{3}{6^2}+\cfrac{1}{6}\cdot\cfrac{4}{6^2}

1+2+3+463=5108\cfrac{1+2+3+4}{6^3}=\cfrac{5}{108} (答え)

解と係数の関係を利用する

(2)に進みます。

解と係数の関係を利用して考えていきましょう。

方程式の解を α,β\alpha,\beta とすると

α+β=a\alpha+\beta=a
αβ=b\alpha\beta=b

a, ba, b はそれぞれ正の数だから α+β\alpha+\beta と αβ\alpha\beta はどちらも正の数です。αβ\alpha\beta が正の数となるのは,α,β\alpha,\beta がどちらも正のときか負のときです。しかし,α,β\alpha,\beta がどちらも負の数だとすると,α+β\alpha+\beta も負の数となるので矛盾します。よって,α,β\alpha,\beta はどちらも正の数です。

また

1 a61\leqq a\leqq6 より 1α+β61\leqq\alpha+\beta\leqq6

となるので,α\alpha と β\beta がどちらも 4 以上であるとすると矛盾します。

したがって,少なくとも 1 つの解は 3 以下。(証明終わり)

整数の組み合わせをみつける

(3)に進みます。

1 a61\leqq a\leqq62 b122\leqq b\leqq12 から

1 α+β61\leqq \alpha+\beta\leqq62 αβ122\leqq \alpha\beta\leqq12

となるので,この条件に当てはまる正の整数の組み合わせを数えていきましょう。

(i) α+β=1\alpha+\beta=1 のとき

(2)より α,β\alpha,\beta はともに正の整数だから,この条件に当てはまる α,β\alpha,\beta はありません。よって,不適です。

(ii) α+β=2\alpha+\beta=2 のとき

(α,β)=(1,1)(\alpha,\beta)=(1,1) となります。

しかし,これは αβ=1\alpha\beta=1 となるので,不適です。

(iii) α+β=3\alpha+\beta=3 のとき

(α,β)=(1,2)(\alpha,\beta)=(1,2) となります。

このとき,αβ=2\alpha\beta=2 となるので,条件に当てはまります。

(α,β)=(2,1)(\alpha,\beta)=(2,1) もありますよね。
α,β\alpha,\beta が 1, 2 でも 2, 1 でも a=3a=3 になる。aa は 1 回目のさいころの目だから 1 通りとして数えないといけない。今回,ここが注意点だろうね。
あくまで聞かれているのはさいころの目の組み合わせであって,α,β\alpha,\beta の組み合わせではないから区別して考える。

一方で,bb については別に考える必要があります。

ここでは,α,β\alpha,\beta が 1,2 でも,2,1 でも b=αβ=2b=\alpha\beta=2 となります。よって 1 通りです。

(iv) α+β=4\alpha+\beta=4 のとき

(α,β)=(1,3),(2,2)(\alpha,\beta)=(1,3),(2,2)

繰り返しますが,aa は a=4a=4 の 1 通りです。あとは,b=αβb=\alpha\beta を考えます。

b=αβ=3,4b=\alpha\beta=3,4

となり,2 αβ122\leqq \alpha\beta\leqq12 の条件に当てはまるのでオッケーです。

ここで,bb は 2 回目と 3 回目のさいころの目の和であったことを思い出しましょう。

b=3b=3 のとき,組み合わせは (1,2),(2,1)(1,2),(2,1) の 2 通りあります。

2 回目と 3 回目は区別しないといけないから,1 通りとしないように。

また,b=4b=4 のときは (1,3),(2,2),(3,1)(1,3),(2,2),(3,1) の 3 通りです。

つまり,合計で 5 通りあります。

(v) α+β=5\alpha+\beta=5 のとき

(α,β)=(1,4),(2,3)(\alpha,\beta)=(1,4),(2,3)

b=αβ=4,6b=\alpha\beta=4,6

b=4b=4 のとき,(1,3),(2,2),(3,1)(1,3),(2,2),(3,1) の 3 通り。
b=6b=6 のとき,(1,5),(2,4),(3,3),(4,2),(5,1)(1,5),(2,4),(3,3),(4,2),(5,1) の 5 通り。

よって,合計 8 通り。

(vi) α+β=6\alpha+\beta=6 のとき

(α,β)=(1,5),(2,4),(3,3)(\alpha,\beta)=(1,5),(2,4),(3,3)

b=αβ=5,8,9b=\alpha\beta=5,8,9

b=5b=5 のとき,(1,4),(2,3),(3,2),(4,1)(1,4),(2,3),(3,2),(4,1) の 4 通り。

b=8b=8 のとき,(2,6),(3,5),(4,4),(5,3),(6,2)(2,6),(3,5),(4,4),(5,3),(6,2) の 5 通り。

b=9b=9 のとき,(3,6),(4,5),(5,4),(6,3)(3,6),(4,5),(5,4),(6,3) の 4 通り。

よって,合計 13 通り。

したがって,求める確率は

1+5+8+1363=2763\cfrac{1+5+8+13}{6^3}=\cfrac{27}{6^3}
=18=\cfrac{1}{8} (答え)