外分点のつくりかたで頭ごちゃごちゃになる,をすっきりさせる(東京都立大2016文系第2問)
内分点と外分点のとり方は上のようになります。外分点が混乱しがちですが,どちらも A → P → B という道順で進む,と理解しておくと頭の中が整理できると思います。
点の座標は,それぞれ次のようになります。
内分点
$\cfrac{na+mb}{m+n}$
外分点
$\cfrac{-na+mb}{m-n}$
演習問題
数直線上に 2 点 Q$(-1)$ と $\text{P}_1\Big(\cfrac{1}{2}\Big)$ をとり,線分 $\text{QP}_1$ を $3:1$ に外分する点を $\text{P}_2$,線分 $\text{QP}_2$ を $3:1$ に外分する点を $\text{P}_3$ とする。以下同様に $n=1,2,\cdots$ に対し線分 $\text{QP}_n$ を $3:1$ に外分する点を $\text{P}_{n+1}$ とする。また $\text{P}_n$ の座標を $a_n$ とする。このとき,以下の問いに答えなさい。(東京都立大2016)
(1) A を数直線上の Q と異なる点とする。線分 QA を $3:1$ に外分する点が $\text{P}_1$ であるとき,A の座標 $a$ を求めなさい。
(2) すべての自然数 $n$ に対して
$a_n=\Big(\cfrac{3}{2}\Big)^n-1$
が成り立つことを $n$ に関する数学的帰納法で証明しなさい。
(3) $999<a_n<9999$ をみたす自然数 $n$ をすべて求めなさい。ただし,本問では $\log_{10}2=0.3010$,$\log_{10}3=0.4771$ とする。
外分点の考え方
外分点を理解したところで,(1)から始めましょう。
問題文から,$\text{P}_1$ が外分点になるので,Q → $\text{P}_1$ → A というルートを作りましょう。
これを方程式にすると
$\cfrac{-1(-1)+3a}{3-1}=\cfrac{1}{2}$
$\cfrac{1+3a}{2}=\cfrac{1}{2}$
$1+3a=1$
$3a=0$
$a=0$ (答え)
数学的帰納法
(2)に進みます。
たとえば,外分点 $\text{P}_2$ の座標 $a_2$ を求めるなら
$a_2=\cfrac{-1(-1)+3a_1}{3-1}=\cfrac{1+3a_1}{2}$
となります。同じように $a_3=\cfrac{1+3a_2}{2}$ となるので,結果的に
$a_{n+1}=\cfrac{1+3a_n}{2}$
という式ができます。
これを使って帰納法で式を証明します。
$a_n=\Big(\cfrac{3}{2}\Big)^n-1$ ・・・(*)
とする。
[I] $n=1$ のとき
$a_1=\cfrac{3}{2}-1=\cfrac{1}{2}$
よって,$n=1$ のとき(*)は成り立つ。
[II] $n=k$ として(*)が成り立つと仮定すると,$n=k+1$ のとき
$a_{k+1}=\cfrac{1+3a_k}{2}$
$=\cfrac{3}{2}a_k+\cfrac{1}{2}$
$=\cfrac{3}{2}\Big\{\Big(\cfrac{3}{2}\Big)^k-1\Big\}+\cfrac{1}{2}$
$=\cfrac{3}{2}\Big(\cfrac{3}{2}\Big)^k-\cfrac{3}{2}+\cfrac{1}{2}$
$=\Big(\cfrac{3}{2}\Big)^{k+1}-1$
よって,$n=k+1$ のときも(*)は成り立つ。
[I],[II]より,すべての自然数 $n$ に対して
$a_n=\Big(\cfrac{3}{2}\Big)^n-1$
が成り立つ。(証明終わり)
対数を用いてけた数を考える
(3)に進みます。ここは問題文から,底を 10 とする対数を作ると良いことが分かります。
たとえば,$\log_{10}100=2$,$\log_{10}1000=3$ となり,3けたの数なら 2,4けたの数なら 3 というように,けた数より 1 小さい数が求められます。これを利用していきます。
$\log_{10}\Big(\cfrac{3}{2}\Big)^n$ とすると
$=n\log_{10}\cfrac{3}{2}$
$=n(\log_{10}3-\log_{10}2)$
$=n(0.4771-0.3010)$
$=0.1761n$
よって
$999<a_n<9999$
$999<\Big(\cfrac{3}{2}\Big)^n-1<9999$
$1000<\Big(\cfrac{3}{2}\Big)^n<10000$
$\log_{10}1000<\log_{10}\Big(\cfrac{3}{2}\Big)^n<\log_{10}10000$
$3<0.1761n<4$
ここで,$3<0.1761n$ は
$17.\cdots<n$
$n$ は自然数より
$17<n$
また,$0.1761n<4$ は
$n<22.\cdots$
$n\leqq22$
まとめると
$17<n\leqq22$
したがって
$n=18,19,20,21,22$ (答え)
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