【数IAデータの分析】分散の公式(2乗の平均ー平均の2乗)はなぜ成り立つの?例題で使い方をマスター
分散の公式を変形する
まず,最初に習った分散を求める公式からおさらいしましょう。分散とは偏差の2乗の平均のことでした。
まず,データを $x_1,x_2,\cdots,x_n$ とし,平均を $\bar{x}$ とします。偏差は平均からデータの値を引いたものです。
たとえば,$x_1$ の偏差は $\bar{x}-x_1$ を表すことができます。
そして平均とはすべての値を足してデータの個数で割ったものだから,分散 $s^2$ は
$s^2=\cfrac{(\bar{x}-x_1)^2+(\bar{x}-x_2)^2+\cdots+(\bar{x}-x_n)^2}{n}$
分子を展開すると
$(\bar{x}-x_1)^2=\bar{x}^2-2x_1\bar{x}+{x_1}^2$
$(\bar{x}-x_2)^2=\bar{x}^2-2x_2\bar{x}+{x_2}^2$
・・・・
$(\bar{x}-x_n)^2=\bar{x}^2-2x_n\bar{x}+{x_n}^2$
これらを3つの項に分けて考え,それぞれ足し合わせます。
最初の項は $\bar{x}^2$ が $n$ 個あるので $n\bar{x}^2$ です。
2番目の項は $\bar{x}$ が共通しているので $-2\bar{x}(x_1+x_2+\cdots+x_n)$ です。
3番目の項は ${x_1}^2+{x_2}^2+\cdots+{x_n}^2$ です。
そして,それぞれの式を $n$ で割ります。
1番目の項
$\cfrac{n\bar{x}^2}{n}=\bar{x}^2$
2番目の項
$-\cfrac{2\bar{x}(x_1+x_2+\cdots+x_n)}{n}=-2\bar{x}^2$
3番目の項
$\cfrac{{x_1}^2+{x_2}^2+\cdots+{x_n}^2}{n}$ (2乗の平均)
3つを合わせると
$s^2=\cfrac{{x_1}^2+{x_2}^2+\cdots+{x_n}^2}{n}-\bar{x}^2$ ・・・(*)
(2乗の平均-平均の2乗)
練習問題
16 個の値からなるデータがあり,そのうち 10 個の値の平均値は 3,分散は 2,残りの 6 個の値の平均値は 11,分散は 10 である。
(1) 16 個のデータの平均値を求めよ。
$3\times10+11\times6=30+66=96$
$96\div16=6$ (答え)
(2) 16 個のデータの分散を求めよ。
公式 $s^2=\cfrac{{x_1}^2+{x_2}^2+\cdots+{x_n}^2}{n}-\bar{x}^2$ ・・・(*)を用いる。
16 個のデータを $x_1,x_2,\cdots,x_{10}$ の 10 個と $x_{11},\cdots,x_{16}$ の 6 個に分けると
${s_1}^2=\cfrac{{x_1}^2+{x_2}^2+\cdots+{x_{10}}^2}{10}-3^2=2$
${x_1}^2+{x_2}^2+\cdots+{x_{10}}^2=110$ ・・・①
また
${s_2}^2=\cfrac{{x_{11}}^2+\cdots+{x_{16}}^2}{6}-11^2=10$
${x_{11}}^2+\cdots+{x_{16}}^2=786$ ・・・②
①+②
${x_1}^2+{x_2}^2+\cdots+{x_{16}}^2=896$
これを再び公式(*)にあてはめると,16個のデータの平均値が 6 であることに注意して
$s^2=\cfrac{{x_1}^2+{x_2}^2+\cdots+{x_{16}}^2}{16}-6^2$
$=\cfrac{896}{16}-36=20$ (答え)
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