【数II式と証明】国公立頻出:分母に相加・相乗平均を用いて最大値を求める(北海道大2019文系第2問)
$x$ を正の実数とし,座標平面上に 3 点 A$(x,0)$,B$(-2,2)$,C$(-3,3)$をとる。直線 AB と直線 AC のなす角を $\theta$ とする。ただし,$0<\theta<\cfrac{\pi}{2}$ とする。
(1) $\tan\theta$ を $x$ で表せ。
(2) $x>0$ における $\tan\theta$ の最大値およびそのときの $x$ の値を求めよ。
(北海道大2019)
tanの加法定理
(1)から考えます。
加法定理を用いて $\theta$ を求めますが,$\tan$ の作り方に注意しましょう。
$\tan$ は $\cfrac{\text{高さ}}{\text{底辺}}$ で求めます。そして,AB間の距離=Bの座標-Aの座標で考えます。
$\tan\alpha=\cfrac{2-0}{-2-x}=-\cfrac{2}{x+2}$
$\tan\beta=\cfrac{3-0}{-3-x}=-\cfrac{3}{x+3}$
次に,$\theta=\alpha-\beta$ だから加法定理を用います。
加法定理
$\tan(\alpha\pm\beta)=\cfrac{\tan\alpha\pm\tan\beta}{1\mp\tan\alpha\tan\beta}$
$\tan(\alpha-\beta)=\cfrac{-\cfrac{2}{x+2}+\cfrac{3}{x+3}}{1+\Big(-\cfrac{2}{x+2}\Big)\Big(-\cfrac{3}{x+3}\Big)}$
$=\cfrac{\cfrac{-2(x+3)+3(x+2)}{(x+2)(x+3)}}{1+\cfrac{6}{(x+2)(x+3)}}$
$=\cfrac{\cfrac{-2x-6+3x+6}{(x+2)(x+3)}}{\cfrac{(x+2)(x+3)+6}{(x+2)(x+3)}}$
$=\cfrac{x}{x^2+5x+6+6}$
$=\cfrac{x}{x^2+5x+12}$ (答え)
分母に相加相乗平均を用いる
(2)に進みます。
(1)より
$\tan\theta=\cfrac{x}{x^2+5x+12}$
分母,分子の両方に $x$ があると話がややこしくなります。そこで,分母,分子のどちらかの $x$ を消去することを考えるとよいでしょう。
分母,分子を $x$ で割ると
$\cfrac{1}{x+5+\cfrac{12}{x}}$
$x$ と $\cfrac{12}{x}$ において相加相乗平均の関係は
$x+\cfrac{12}{x}\geqq2\sqrt{x\cdot\cfrac{12}{x}}$
$x+\cfrac{12}{x}\geqq4\sqrt{3}$
等号成立は $x=\cfrac{12}{x}$ のとき。
$x=\cfrac{12}{x}$
$x^2=12$
$x=\pm2\sqrt{3}$
$x>0$ より
$x=2\sqrt{3}$
$\tan\theta=\cfrac{1}{4\sqrt{3}+5}$
$=\cfrac{4\sqrt{3}-5}{(4\sqrt{3}+5)(4\sqrt{3}-5)}$
$=\cfrac{4\sqrt{3}-5}{48-25}$
$=\cfrac{4\sqrt{3}-5}{23}$
したがって,$\tan\theta$ は
$x=2\sqrt{3}$ のとき,$\cfrac{4\sqrt{3}-5}{23}$ (答え)
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