4次関数の変曲点と接線の交点:変曲点で重解をとるイメージの捉え方(神戸大2015理系第3問)
$a$ を正の実数とする。座標平面上の曲線 $C$ を
$y=x^4-2(a+1)x^3+3ax^2$
で定める。曲線 $C$ が 2 つの変曲点 P,Q をもち,それらの $x$ 座標の差が $\sqrt{2}$ であるとする。以下の問に答えよ。
(1) $a$ の値を求めよ。
(2) 線分 PQ の中点と $x$ 座標が一致するような,$C$ 上の点を R とする。三角形 PQR の面積を求めよ。
(3) 曲線 $C$ 上の点 P における接線が P 以外で $C$ と交わる点を P’ とし,点 Q における接線が Q 以外で $C$ と交わる点を Q’ とする。線分 P’Q’ の中点の $x$ 座標を求めよ。
第二次導関数を求める
(1)から始めます。
変曲点の $x$ 座標について考えていきましょう。
$y=x^4-2(a+1)x^3+3ax^2$ より
$y’=4x^3-6(a+1)x^2+6ax$
$y”=12x^2-12(a+1)x+6a$
$12x^2-12(a+1)x+6a=0$ とすると
$2x^2-2(a+1)x+a=0$
$x=\cfrac{a+1\pm\sqrt{(a+1)^2-2a}}{2}$
$=\cfrac{a+1\pm\sqrt{a^2+2a+1-2a}}{2}$
$=\cfrac{a+1\pm\sqrt{a^2+1}}{2}$ ・・・①
解の差は $\sqrt{2}$ だから
$\cfrac{a+1+\sqrt{a^2+1}}{2}-\cfrac{a+1-\sqrt{a^2+1}}{2}=\sqrt{2}$
$\sqrt{a^2+1}=\sqrt{2}$
両辺を 2 乗して
$a^2+1=2$
$a^2=1$
$a$ は正の実数だから
$a=1$ (答え)
三角形の面積
(2)に進みます。
PQ の中点を M とすると次のようになります。
この問題の解き方は一通りではないのですが,ここでは素直に点 M の座標を求めて面積を求めてみます。
まず,$a=1$ を代入して
$y=x^4-2(1+1)x^3+3\cdot1\cdot x^2$
$=x^4-4x^3+3x^2$
また
$y”=12x^2-12(1+1)x+6a$
$=12x^2-24x+6$
$12x^2-24x+6=0$ とすると
$2x^2-4x+1=0$
方程式の解を $\alpha,\beta$ とすると,中点 M の $x$ 座標は $\cfrac{\alpha+\beta}{2}$ だから,解と係数の関係より
$\alpha+\beta=-\Big(-\cfrac{4}{2}\Big)=2$
$\cfrac{\alpha+\beta}{2}=1$
これで,点 M の $x$ 座標が 1 であることが分かりました。また
$x=1$ のとき
$y=1^4-4\cdot1^3+3\cdot1^2=0$
点 R の座標は R$(1,0)$
次に,点 M の $y$ 座標を求めていきます。
点 M の $y$ 座標を求めると
$\cfrac{1}{2}(\alpha^4-4\alpha^3+3\alpha^2+\beta^4-4\beta^3+3\beta^2)$
$=\cfrac{1}{2}\{\alpha^4+\beta^4-4(\alpha^3+\beta^3)+3(\alpha^2+\beta^2)\}$ ・・・②
① に $a=1$ を代入すると
$x=\cfrac{1+1\pm\sqrt{1^2+1}}{2}$
$x=\cfrac{2\pm\sqrt{2}}{2}$
$\alpha=\cfrac{2-\sqrt{2}}{2}$,$\beta=\cfrac{2+\sqrt{2}}{2}$
よって
$\alpha+\beta=\cfrac{2-\sqrt{2}}{2}+\cfrac{2+\sqrt{2}}{2}=2$
$\alpha\beta=\cfrac{2-\sqrt{2}}{2}\cdot\cfrac{2+\sqrt{2}}{2}$
$=\cfrac{(2-\sqrt{2})(2+\sqrt{2})}{4}$
$=\cfrac{4-2}{2}=\cfrac{1}{2}$
これらを利用して $\alpha^4+\beta^4$ まで求めていきましょう。
$\alpha^2+\beta^2=(\alpha+\beta)^2-2\alpha\beta$
$=2^2-2\cdot\cfrac{1}{2}=3$
$\alpha^3+\beta^3=(\alpha+\beta)(\alpha^2-\alpha\beta+\beta^2)$
$=2\cdot\Big(3-\cfrac{1}{2}\Big)$
$=2\cdot\cfrac{5}{2}=5$
$\alpha^4+\beta^4=(\alpha^2+\beta^2)^2-2(\alpha\beta)^2$
$=3^2-2\cdot\Big(\cfrac{1}{2}\Big)^2$
$=9-\cfrac{1}{2}=\cfrac{17}{2}$
これらを②に代入すると
$\cfrac{1}{2}\Big(\cfrac{17}{2}-4\cdot5+3\cdot3\Big)$
$=\cfrac{1}{2}\Big(-\cfrac{5}{2}\Big)=-\cfrac{5}{4}$
ここから,RM の長さは $\cfrac{5}{4}$ であることが分かります。
したがって面積は
$S=\cfrac{1}{2}\cdot\sqrt{2}\cdot\cfrac{5}{4}$
$=\cfrac{5\sqrt{2}}{8}$ (答え)
変曲点と接線の性質
(3)に進みます。
変曲点から接線をひくと,次のようになります。
こうしてみると,曲線と直線は共有点を 2 個もつことが分かります。
接線の方程式をつくりましょう。
点 P の座標を $(\alpha,\alpha^4-4\alpha^3+3\alpha^2)$ とすると
$y’=4x^3-12x^2+6x$ より
$y=(4\alpha^3-12\alpha^2+6\alpha)(x-\alpha)+\alpha^4-4\alpha^3+3\alpha^2$
$=(4\alpha^3-12\alpha^2+6\alpha)x-4\alpha^4+12\alpha^3-6\alpha^2+\alpha^4-4\alpha^3+3\alpha^2$
$=(4\alpha^3-12\alpha^2+6\alpha)x-3\alpha^4+8\alpha^3-3\alpha^2$
$C$ と連立すると
$x^4-4x^3+3x^2=(4\alpha^3-12\alpha^2+6\alpha)x-3\alpha^4+8\alpha^3-3\alpha^2$
$x^4-4x^3+3x^2-(4\alpha^3-12\alpha^2+6\alpha)x+3\alpha^4-8\alpha^3+3\alpha^2=0$
これは 4 次方程式だから,解は 4 個できるはずです。しかし,上で述べたように実際の解は 2 個です。つまり,重解をとります。
そして,解のうち 3 個が変曲点に集まります。
イメージとしてはこのような感じです。
曲線と直線を引いてみます。そして,直線が接線となる位置まで移動していくと,2 個あった交点が最終的に 1 個の点に集まっていくことが分かると思います。これが重解です。
あくまでイメージですが,変曲点の場合も複数ある交点が変曲点に近づくにつれて 1 か所に集まってくると考えると良いでしょう。
方程式は,$x=\alpha$ を解にもつので
$x^4-4x^3+3x^2-(4\alpha^3-12\alpha^2+6\alpha)x+3\alpha^4-8\alpha^3+3\alpha^2=0$
組立除法を用いて
$\begin{matrix}1&-4&3&-4\alpha^3+12\alpha^2-6\alpha&3\alpha^4-8\alpha^3+3\alpha^2&|\underline{\alpha}\\&\alpha&\alpha^2-4\alpha&\alpha^3-4\alpha^2+3\alpha&-3\alpha^4+8\alpha^3-3\alpha^2\\\hline1&\alpha-4&\alpha^2-4\alpha+3&-3\alpha^3+8\alpha^2-3\alpha&0\end{matrix}$
$(x-\alpha)\{x^3+(\alpha-4)x^2+(\alpha^2-4\alpha+3)x-3\alpha^3+8\alpha^2-3\alpha\}=0$
$\begin{matrix}1&\alpha-4&\alpha^2-4\alpha+3&-3\alpha^3+8\alpha^2-3\alpha&|\underline{\alpha}\\&\alpha&2\alpha^2-4\alpha&3\alpha^3-8\alpha^2+3\alpha\\\hline1&2\alpha-4&3\alpha^2-8\alpha+3&0\end{matrix}$
$(x-\alpha)^2\{x^2+(2\alpha-4)x+3\alpha^2-8\alpha+3\}=0$
$\begin{matrix}\end{matrix}$
$\begin{matrix}1&2\alpha-4&3\alpha^2-8\alpha+3&|\underline{\alpha}\\&\alpha&3\alpha^2-4\alpha\\\hline1&3\alpha-4&6\alpha^2-12\alpha+3\end{matrix}$
ここで,(2)より $y”=2x^2-4x+1=0$ でした,これに $\alpha$ を代入して
$2\alpha^2-4\alpha+1=0$
$6\alpha^2-12\alpha+3=0$
となるので
$(x-\alpha)^3(x+3\alpha-4)=0$
よって,P’ の $x$ 座標は $4-3\alpha$
同様にして,Q’ の $x$ 座標は $4-3\beta$
中点は $\cfrac{4-3\alpha+4-3\beta}{2}$
$=\cfrac{8-3(\alpha+\beta)}{2}$
$=4-\cfrac{3}{2}(\alpha+\beta)$
(2)より $\alpha+\beta=2$ だから
$=1$ (答え)
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