3つの数の相加相乗平均の証明のやり方(東京都立大2016文系第1問)
以下の問いに答えなさい。(東京都立大2016)
(1) 次の式を展開しなさい。
$(x+y+z)(x^2+y^2+z^2-xy-yz-zx)$
(2) $a,b,c$ を 0 以上の実数とする。次の不等式が成り立つことを示しなさい。また,等号が成り立つのはどのようなときか答えなさい。
$\cfrac{a+b+c}{3}\geqq\sqrt[3]{abc}$
複雑な式の展開
(1)から始めます。
ここは,いったん $y+z=k$ とするとうまくいきます。
$=(x+y+z)\{x^2+y^2+z^2-(y+z)x-yz\}$
$y+z=k$ として
$=(x+k)(x^2-kx+y^2+z^2-yz)$
また
$k^2=y^2+z^2+2yz$
$y^2+z^2=k^2-2yz$
よって
$=(x+k)(x^2-kx+k^2-3yz)$
$=(x+k)\{(x-k)x+k^2-3yz\}$
$=(x+k)(x-k)x+(x+k)(k^2-3yz)$
$=x^3-k^2x+k^2x-3xyz+k^3-3kyz$
$=x^3+k^3-3kyz-3xyz$
$=x^3+(y+z)^3-3(y+z)yz-3xyz$
$=x^3+y^3+3y^2z+3yz^2+z^3-3y^2z-3yz^2-3xyz$
$=x^3+y^3+z^3-3xyz$ (答え)
3つの数の相加相乗平均
(2)に進みます。
不等式の証明なので,右辺を移項して,式が 0 以上になることを示せば良さそうです。
$\cfrac{a+b+c}{3}\geqq\sqrt[3]{abc}$
$a+b+c\geqq3\sqrt[3]{abc}$
移項して
$a+b+c-3\sqrt[3]{abc}$ とする。
ここで,(1)を利用することを考えましょう。
$a=x^3$,$b=y^3$,$c=z^3$ とすると
$\sqrt[3]{abc}=\sqrt[3]{(xyz)^3}=xyz$
よって
$=x^3+y^3+z^3-3xyz$
$=(x+y+z)(x^2+y^2+z^2-xy-yz-zx)$
ここから,式が 0 以上であることを示します。
もともと,$a,b,c$ が 0 以上だから $x+y+z$ も 0 以上となります。
ここはアイデアというかこじつけが必要です。式の形から,もし $x^2-2xy+y^2$ であれば $=(x-y)^2$ となり,これは 2 乗しているので必ず 0 以上だと言えます。
$=\cfrac{1}{2}(x+y+z)(2x^2+2y^2+2z^2-2xy-2yz-2zx)$
$=\cfrac{1}{2}(x+y+z)(x^2-2xy+y^2+y^2-2yz+z^2+z^2-2zx+x^2)$
$=\cfrac{1}{2}(x+y+z)\{(x-y)^2+(y-z)^2+(z-x)^2\}\geqq0$
したがって
$\cfrac{a+b+c}{3}\geqq\sqrt[3]{abc}$
が成り立つ。
次に,等号成立の場合を考えましょう。
等号が成立するのは式が 0 になるときだから
$x+y+z=0$
または
$(x-y)^2+(y-z)^2+(z-x)^2$
のときです。
よって
等号成立は $a=b=c=0$ または $a=b=c$ のとき。まとめると,$a=b=c$ のとき。(証明終わり)
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